養殖技術

近畿養鰻増殖研究所ではバイカラーに関する独自の養殖技術を確立しました。
この養殖技術を用いたうなぎには下記のようなメリットがあります。とても革新的なことであるとおわかりいただけるかと思います。

なぜ他の養鰻業との差が出来るかと言いますと 一般的に養殖技術は各都道府県の水産試験場で研究された技術を教わり養殖をいたしますので養殖業と養殖技術研究者は通常別分野だからです。奈良県には唯一 水産試験場がなく 他県の水産試験場でもバイカラーの研究はされていましたが確立されていなかった為 独自で研究をしなければなりませんでした。

 

当研究所での研究

うなぎはクロコの時期に雄雌に別れ出します。現在にほんうなぎ・ヨーロッパうなぎ・アメリカうなぎでは 河川で1対1の割合で雄雌が別れますが養殖場での場合99%が雄に育っています。
当研究所においては試食した時に雄より雌の方が肉質や皮が柔らかく美味しいと言う結果が出ました。なぜその様な結果が出たかと言いますと雌は成長が断然早く肉質が柔らかく出来ますが 雄は約150㌘の段階でほぼ餌に反応しなくなる為 成長が一旦頭打ちになり 少し手を加えなければ すぐには食べ出しません 手を加える事はコストがかかる事から 雌に育て分ける為に自然界の状況を調査 過去のデーターを収集(長年調査している研究所チームや関係者と共同開発)した結果クロコ時期に汽水.海水域を長く回遊した後 川に上るクロコに雌が多いと考えられクロコの時期に自然界に近い厳しい環境づくりをしました。動物は厳しい環境におかれると繁殖率を上げる為に雌が増えることから水温は自然界に近い温度と温度変化そして密集率を極度に下げ海水に近い塩分濃度と濃度変化で育てる事により雌になる率が高く現地での調整がかなり必要ですが 輸入後の環境も大切な事で結果 雌に育て上げる技術を確立実現出来ました。ホルモン注射や投与をせず100%雌に育て上げる技術を確立し 尚且つ銀化(川を下り 再び海の産卵場へと向かうウナギ)させる事も成功しています。
又、現時点ではホルモン注射をせず雄雌の育て分けや銀化させる事が出来る技術は世界的な技術で有り一部の雌ウナギに卵を持たせれる段階まで進めれています。 育て分けの出来る技術により完全養殖のコスト削減へ貢献も出来ればと願っています。


※ 雄 雌の見分け方は写真 動画にて確認して頂きエラ・ヒレ・肛門位置等の図で詳しく説明しています企業秘密ですので会員専用ページより閲覧して下さい。

 

ふわふわの柔らかくおいしいうなぎ

バイカラーは皮がゴムの様で身が硬くておいしくないという評価が以前からありました。
それは当然の事で養殖技術を上げるには時間が必要で有ると言う事であまり研究をされずにほんうなぎと同様に育てられたうなぎを世の中に出荷されたからです。

うなぎの味は8割は飼料に影響されると言われてています。飼料の研究は稚魚から成鰻まで育てるまでの時間が最低限必要です。 池を分け何通りもの飼料を混ぜ合わせ成鰻になった鰻を試食しなければならないのと どれ位の大きさがおいしいかも調べなければいけません。

近畿養鰻増殖研究所は飼料についても研究を重ね身が柔らかく皮がパリッとした蒲焼きを調理する事に成功しました。 調理方法でもにほんうなぎとは全く異なります。

その成果は数々のテレビ番組で取り上げられ、番組内で私たちが提供したバイカラーを試食していただきました。何人もの試食を終えたコメンテーターが「おいしい」「ニホンうなぎと遜色ないレベル」とまで評価くださいました。

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歩留り90%以上を達成

歩留まり90%以上を達成するまでに苦労を重ねてきました。

国内にて養殖をするまでに シラスうなぎを採集し現地保管池に入れるまでにも工夫が必要で現地保管池より飛行場までの輸送も普通に運んではいけない事もわかりました。 そして次は空輸ですが空輸には気圧変動が有り生体に影響を与えない対策も必要です。ここまでの作業は国内養殖にて歩留まりはもとより成長率・雌化・銀化に大変影響し国内にて池入れしても小さい個体の後遺症は2~3週間後にも発生する事が解っています。
現地にて日本人が経営する法人で稚魚から育成をし輸出許可の出るサイズ『クロコ』までの養殖設備 養殖技術 輸送技術 空輸方法や飼料を提供し研究所専属で人員を派遣し業務を委託しています。 この死亡率を抑える事だけでもうなぎの資源を最小限ですが守れていると思います。

さて国内の養殖を始めるに当たり『うなぎを知る』と言う事に専念しなければ歩留まりが上がる事はありません…。
容存酸素、水質、PHなどは当然で、養殖池ではなく水槽でなければ状態は解りませんし水産試験場の様に仕事をする場所とうなぎの泳いでいる場所が違う。 さらに寝る場所、食事をする場所も同じでない限り少しの変化を見逃してしまいます。

私たちは24時間交代制で365日5年間うなぎとともに生活、観察する事により色々な事が判明し歩留まりを上げる事はもとより 極わずかですが卵を持つ生体も確認出来る様になりました。

現在バイカラー養殖の歩留まりは20~30%が平均的な数値です。
当研究所は現地に養殖技術を提供しシラスうなぎからクロコに育て(諸外国の輸出許可が出るサイズ)輸入し 国内でクロコうなぎから成鰻までの歩留まりが90%以上です。
九州方面の養鰻業者の中でニホンウナギやバイカラーの稚魚を池入れして、多く死んでしまう事が有ると言われています。
ニホンウナギの養鰻業者様とは根本的な養殖方法と養殖の考え方が異なり 歩留まりはロスのひとつと考えられる方が少し多いと思われますが 中には研究所を設立し歩留まりを上げる研究をされている業者様も存在されており凄く有難く感じます。

 

育成面積を縮小

従来の養殖方法では、にほんうなぎの稚魚にストレスを感じさせないため、養殖方法池入れ密度の上限の基準が水産庁で決められており(単年養殖30.3g/㎡ 周年養殖47.4g/㎡) 大きい養殖池を用意していました。

しかしながらこれは広い土地、多くの水が必須でありそれにかかるコストも膨大なものでした。またタンク(水槽)養殖では67.3g/㎡と養殖方法池入れ密度の上限の基準が水産庁で決められています。一般的には坪当たり成鰻150尾=100坪池330トン(水量)15,000尾 改善されても3万尾くらいで養殖されています。

一見普通に見えてもノウハウがないまま ただ単に密度を上げてしまうと水質悪化・酸素不足・餌の喰いが悪くなり突然死に至るなど成長にも影響を与えてしまいます 。

高密度養殖は一定の期間外したり水質をさわるなどをする事が必要でこの期間を見逃すと極度の成長格差が出てしまい皮が固くなってしまいます。うなぎの生体に応じた飼育環境をこまめに変え 私たちの育成専用装置 酸素供給装置 高度ろ過処理装置を用いる事により狭い空間で可能です。その装置でより多くのうなぎを歩留り90%以上短期間出荷という高効率で養殖が可能なのです。

 

生育スピードは3~4か月

通常一年に一回池入れされ出荷されますが バイカラーの稚魚はほぼ一年中採集出来る為どの時期にでも池入れが可能です。

そしてエサの配合に秘密があり近畿養鰻増殖研究所では独自の飼料を使用し 池ではなくクロコ養成装置を用いてクロコ養殖を行います。 クロコから出荷サイズ330グラム(3P)以上に養殖する期間は3~4ヶ月(一部の成長遅れを省き)で出荷サイズに育ちます。 早く出荷出来る為多く養殖が出来ると言う事ではなく今までの養殖場に比べ小規模で尚且つ需要が多い月に合わせ養殖が可能と言う事です。

飼料を多量に与える為、一般的に用いられるにほんうなぎの飼料では水質の改善に時間がかかり過ぎ話しになりません。当研究所の飼料は水産でも有名な大学の研究チームと一部共同開発した飼料を用いますが 当然水は汚れますので濾過機能を上げなければなりません。濾過装置も水処理を得意とするメーカーのノウハウを頂き当研究所独自の開発した装置を用いています。 また濾材についても石などの研究をしている大学の研究チームの協力を得て世界各地より良い材質の素材を何種も組合せ通水性を損なわず固める事に成功した独自の濾材を使用しています。 濾材を固める事により濾過装置の洗浄が簡単に行えるメリットが有る為です。

短期間で成長させる事は食肉でも同じ事。子牛は肉が柔らかく美味しいと言われているのと同じで養殖うなぎの中でも一年経たない若いうなぎの事を新子と呼び 、より短期間で育て上げる事により、皮も柔らかく身も脂がのり小骨も少なく美味しく育て上げれる事が可能になりました。

当研究所はバイカラー以外についても一部養殖技術を確立しています。

 

ほとんどが病気にならない

輸入までの対策により体力の有る生体を池入れする事で歩留まりを上げる事が可能です。
現地の水は日本に近い水質にして養殖する事は前提ですが現地の水は国内の池には一切入れない。まず池入れ前に稚魚の洗浄をし病原菌を入れない事が大きく影響し池入れから10日間がポイントです。
弱りかけた生体をいち早く間引きし管理する事により強い生体を取り戻す事が可能です。どれだけ早く見分けるかが大事です。
研究所では輸入したウナギは全て 研究所にて10日~2週間保養し万全な状態で各養殖場に池入れをしていますので病気になり弱った生体で落ちてしまうのは全体の0.0数%に当たり また養鰻場の要望に応じて雌ウナギだけの供給もしています。

バイカラーをクロコより大きいサイズのウナギを輸入し養殖されている方がおられます。バイカラーは海外で病気が発生する事が頻繁に有りノウハウが無ければ歩留まりにかなり影響が出ます。
また種が異なる事で同じ環境でも発症するしないなどが有ります。 
ひれ赤病 えら腎炎 白点病 赤点病 パラコロ病(ちょうまん) えらくされ病(カラムナリス病) 尾くされ病(カラムナリス病) わたかぶり病 イカリムシ症 滑走細菌性えら病 発赤病 トリコディナ症 トリコフリア症 膿傷病(ビブリヤ病) ミキシジウム症 べこ病(プリストホーラ病) ダクチロギルス症 ギロダクチルス症 アンギリコラ症 将液性腹水症 皮膚剥離症 けいれん病 
など平成の日本ではほぼ確認出来ない病気も現地でのバイカラーの状態を確認せずに輸入した場合に出る可能性は高いのです。
会員の方で上記病気の症状 治療方法などより詳しく知りたい場合は会員専用ページにて確認下さい。またバイカラーの起こりうる病気の画像や種類の見分け方など画像も添付しています。

 

完全無投薬で環境に配慮

完全に薬を使わない養殖方法を確立しました。私たちの養殖方法では全く薬を使う必要がありません。
人間でも同様ですが生体が持つ免疫力を上げる事によりすくすくと成長させる事が可能になりました。

これは環境にも良い事ですが、第一に食の安全 安心に繋がる事だと思います。

 

近畿養鰻増殖研究所の養鏝技術を上げる為に

稚魚やクロコから成鰻まで歩留まり90%以上確実に育て上げれる様、各会員がうなぎを持ち込み研究所の研修施設内で稚魚やクロコから成鰻まで8~12ヶ月間をかけて実践養殖の研修を行います。
内容については、うなぎの習性・水質に合う濾過材料・ろ過層置の仕組み・餌を与える時間・飼料の混ぜ合わせ・水質管理・容存酸素・選別・食品加工・提携先海外(フィリピン・インドネシア・台湾・韓国 他)の現地養殖施設・大学の研究機関の同行・企業養鰻の視察(九州)・水族館設備メーカーの視察(台湾他海外も含む)・設備(配管など)の 実践指導・クロコ養成装置での養殖・研究所の視察(箕面市)などすべて学んで頂き 自ら育て上げた鰻の審査をしています。育てたウナギは地元に持って帰り販売するか研究所にて買取りをするか選んで頂いています。
研究所の発行する養殖指導員.養殖準指導員.養殖認定員.設備指導員.設備認定員の認定証を受け取り各養鏝場で養殖をしています。なぜその様な取り組みをするのか… バイカラーの養殖は ニホンウナギの養殖方法では臭く皮がゴムの様になり肉質が固くなってしまうからで 希少な資源を確実に歩留まりを上げ 食の安全そしてより美味しく頂いて貰う為です。

※ニホンウナギの中でも色々な種類に選別出来ます。アオ(5) スジ(5) シロ(5) クチボソ/トビ(4) カスリ/ホシ(4) カワ(4) ギン/クダリ(4) ゴマ(4) アカ/チヤ(3) クロ(3) サジ(3)  カラス/腹クロ(3) ジツキ/イツキ(3) モヤシ/カニクイ(-1)など(5段階別)様々で以前は細かく価格も分けられていました。 また異種うなぎ(二ホンウナギ以外のうなぎ)も18種類が確認されていますが同種で有っても実際には(研究チームの協力を得て)もっと細かく種類を分ける事が出来ます。 この種が異なる事により成長の違いや味の違いも確認出来ており DNA鑑定を添付し画像にて詳しく見分け方を説明しております。 バイカラーにおいて養殖技術の確立出来ていない環境で育てられたバイカラーは二ホンウナギと比べますと (-2)のモヤシ/カニクイ以下に育てる事しか出来ず 臭い 皮がゴム 肉質が固いと言われた理由です。

※詳細は会員専用ページより閲覧出来ます。

 

当研究所の養殖技術についてのお問い合せは以下よりお願いいたします。