大切なうなぎに成仏して貰う為 養殖技術に磨きをかける

私は養殖を進める過程において毎日うなぎと生活をする事により、

『私の姿を見て寄って来るのです。』

事務机の隣に水槽が有りその隣に簡易ベッドが有るので私からもうなぎからも見えているのです。可愛くて可愛くて仕方がありません…。 うなぎに情がうつり 家族の様に感じる様になりました。

うなぎは脱走の名人で稚魚は表面張力により水滴が有れば天井も移動します。ある時は 居眠りをしていると水槽の周りは真っ黒… 真っ黒の正体は脱走した稚魚です。 稚魚は当時1kg80万円。

「あぁ、今日も10kgの損失か・・・。」

ある時は目が覚めると見るからに水槽の稚魚が少ない!?

原因は入る事のないはずのスポンジを潜りこみポンプからろ過層に。

稚魚は体に傷が付くと回復不可能。またまた10kg損失・・・。

勢いよく出る給水口は勢いに合わせて登りまたまた損失・・・。

初めは、「うなぎ=お金」から「うなぎ=ペット(家族)」に見る目が変わるのは当然の事かと思います。 試行錯誤し成鰻まで育て上げたうなぎが「私の姿を見て寄って来るのです。」一匹一匹性格や特長が解り出すとまたまた可愛く思います。 時にはスネたり時には移動する先移動する先について来たりと・・・。 

しかし私が育てているビカーラ種は日本の養鰻業者の間で言われている『皮がゴムみたいで二重皮肉質が固くて美味しくない』と不評な種類です。 せっかく大切に育て上げた可愛いうなぎがマズイと不評で有れば浮かばれません。そこで水質、そして飼料の研究への挑戦が始まりました。 飼料の研究は何台もの水槽を用意し色々と混ぜ合わせた何種類の飼料を用意し与えなければなりません。 最低半年は必要な時間がかかる実験ですし、水質濾材も同様の時間が必要な実験です。手間と時間を要しますが「美味しい」と言って貰えないと私の大切なうなぎは浮かばれません。

年月をかけた結果誰もが『美味しい』と言って貰える様になりました。 しかし試食に出すうなぎも

「ドナドナド~ナド~ナ~~~~」

自分が外出してる間に出荷してもらい別れを避け、私は養殖業はむいていないと葛藤し三年間うなぎを食べる事が出来ませんでした。 

さぁ日本の養鰻業者さん、いや世界の養鰻業者さん。私達の育て上げたうなぎの味に勝てますか?

挑戦状承ります。

私達の研究所の育て上げた鰻は試食し納得して頂いた方にしか卸ませんよ!!

近畿養鰻増殖研究所
理事長代行 石井 馨